発音について

“ヴェーダは幾つかの基本的な音声とそのバリエーションから生まれました。微妙な音の変化によって、唱えられている言葉の意味が変わってしまいます。ヴェーダの音声をすべて表記できる文字言語は一つも存在しません。ヴェーダに含まれる多くの言葉は、書写不能です。ヴェーダは神の息吹であり、音声によってのみ人から人へと伝授できるものです。インド全土でも、ヴェーダを正確に唱えられる人は、ほんの一握りしか居ません。”

サティヤ サイ ババ

『サティア サイババとの対話』p.59

1. オームの正しい発音方法を教えてください

以下、バガヴァンの御言葉です。

どんなマントラを唱えるときも、正しいスワラ(音)はとても重要です。わたしはよく、オーム マントラを唱える人を引き合いに出します。かなり多くの人がオームカーラをきわめて機械的に唱え、かつ正しいイントネーションで唱えていません。このマントラは3つの音節、つまり「A(ア)」と「U(ウ)」と「M(ム)」を発して唱えます。「A(ア)」は喉から出ます。「U(ウ)」は舌から、「M(ム)」は唇からです。この3つの音節が結合したもの、すなわちオームは臍から生じます。オームを唱えるように言われると、かなりの人が〔AUMの〕スペルをそのまま〔アウムと〕発音します。これは求められているものではありません。3つの音節すべてが、同時に、一斉に唱えられなければなりません。オームを唱えることは、飛行機が離陸し、空へと上昇して、ついには着陸することにたとえられます。マントラが正しい方法で唱えられたときにのみ、あなたはよい気持ちになります。何人もの人がわたしに言ってきます。「スワミ、わたしはオームカーラを数年来唱えているのですが、いまだに揺るぎのない信仰心をもつことができません」そうです。その通りです。正しいイントネーションで唱えずに、また、その真の意味を理解することなく唱えていて、どうしてそれが可能だというのでしょう?

Dasara Discourses 2002-4, p.5

以下は上記の御言葉の映像です。

オームカーラ〔オームの音節〕と他の一切の音との違いは何でしょうか? オームカーラには、その発音のされ方と、それが表している目的において、比類のない特有の性質があります。他の文字を発音するときには、唇と舌と頬(ほお)と顎(あご)が動きます。けれども、オームカーラを発音するときには、そのどれも、まったく動きません。これはオームカーラの類希たぐいまれ)な特徴です。それゆえ、オームだけは「不滅なるもの(アクシャラム)」と見なされ得るのです。他の音はすべて、さまざまな言語表現です。 オームカーラはヴェーダの土台です。

1984年10月1日 の御講話「オームカーラの比類なき重要性」より


音は原初のプラナヴァ〔聖音オーム〕から生じます。プラナヴァは、A〔アカーラ〕、U〔ウカーラ〕、M〔マカーラ〕という3つの音節でできています。神の正しい住所はオームカーラ〔オームの音節〕です。鐘の音とヴェーダの音も、オームカーラ ナーダ(オームの音)を発しています。オームカーラの発声は、臍から生じる「ア」の音に始まり、それから、喉から生じる「ウ」の音、そして最後に、唇から生じる「ム」で結ばれるという一連の方法で、甘く滑らかになされるべきです。それは、遠くの飛行機の音が空港に近づくにつれてだんだんと大きくなり、最後に着陸して小さくなるかのごとく、発声すべきです。(スワミはここでオームカーラの正しい唱え方を実際に示してくださいました) ヴェーダはこのことをとても明瞭に教えています。

1993年10月18日 のご講話「バーラタの栄えあるヴェーダ遺産」より


Q:「オーム」はどのように唱えるのが正しいのですか?

サイ:「オーム」の音は「AUM」です。「A(ア)」は柔らかく喉から始まります。それは地球です。「U(ウ)」の音は口から生じ、音量が増大します。「M(ム)」の音は、音量を下げながら唇で発音します。遠くで飛行機が飛ぶ音が聞こえ、それが近づくにつれて音が大きくなり、飛び去ってしまうと音が小さくなっていくのに似ています。「A(ア)」はこの世です「U(ウ)」は天界です。「M(ム)」はすべての感覚を越えた神です。

Q:このように完壁に発音できなければどうなりますか?

サイ:愛があれば、完壁なオームの発音を重視し過ぎる必要はありません。母と子を結ぶ絆は愛です。子供が叫んだとして、例えその叫び方が耳障りであっても母親は気にしません。彼女はその子の所に駆けつけて、面倒を見ます。聖なる母はあらゆる場所にいます。スワミはここにいますが、聖なる母はすべての場所にいるのです。ですから誰にでもチャンスがあるのです。誰かが神を熱望するようになれば、聖なる母はそこにいて、恩寵を与えてそれに応えようと待っています。このような事柄は、すべてに関して愛が最も重要です。神への帰依とは、神を愛することです。

本当のオームは自然発生的です。それは両方の鼻孔を通って額の中心まで昇り、耳を通って世界に届きます。それはラジオ塔から発信される放送のようです。


『バガヴァン シュリ サティア サイババとの対話』p.170-171

※オームの意味については御講話「オームカーラの比類なき重要性」をご参照ください。

2. 母音・子音とは?

言語の音声には「母音(ぼいん)」と「子音(しいん)」の2種類があります。母音とは、声を口の中で舌などで妨げることなく発する音です。日本語でいうと「あいうえお」です。サンスクリット語の母音には a、ā、i、ī、u、ū、ṛ、e、ai、o、au があります。

逆に子音は息が口を通る時に喉・舌・歯・唇などで妨げ(閉鎖・摩擦・せばめなどを作って発する音です。サンスクリット語では破裂音(質問4参照)、鼻音(びおん)(ṅ、ñ、ṇ、n、m、ṁ)、半母音(y、r、l、v)、歯擦音(しさつおん)(ś、ṣ、s)、気音(h、ḥ)があります。

※各文字の発音方法については、このページの一番下の「参考資料」や他の質問をご参照ください。

非常にまれですが、母音の ṝ ḷ (質問16参照)、そり舌音の ḻ (質問15参照)もあります。ṝ はこのサイトに掲載されているマントラの中には登場しません。

※子音の後に母音が続かない場合、カタカナでは左上に点がついています。

3. 調音部位(調音位置、調音点)とは?

発音の時に、口の中で息の流れを妨げる場所のことです。サンスクリット語には、口の中の奥から順に、喉(軟口蓋:なんこうがい)、口蓋(硬口蓋:こうこうがい、上あご)、そり舌、歯、唇の5つの調音部位があり、それぞれから発する音を喉音(こうおん;軟口蓋音)、口蓋音(硬口蓋音)、そり舌音、歯音(しおん)、唇音(しんおん;両唇音)と言います。

調音部位での息の妨げ具合(閉鎖具合)は以下のようになります。

母音:触れない・開ける(a は「締めて開ける」)

子音

例えば、 v は歯音と唇音の混合で半母音ですから、歯と唇がわずかに、または部分的に触れる程度にして息・声が漏れるようにし、息をせき止める b の発音に聞こえないように注意しましょう。 また yi  は、y が口蓋音で半母音ですから、舌を上あごにわずかに、または部分的に触れるほどに接近させてから母音の i で大きく開けて発音し、「ィ」という感じの音になります。

4. 破裂音とは?

子音のうち、調音部位で完全な閉鎖を作り息をせき止めた状態から、その閉鎖を破裂するように急に破った時に発せられる音です。喉音kkhggh、口蓋音cchjjh、そり舌音ṭhḍh、歯音tthddh、唇音pphbbh があります。

このうち h が付く kh、gh、ch、jh、ṭh、ḍh、th、dh、ph、bh はマハープラーナ(帯気音)と呼ばれ、アルパプラーナ(無気音)の kg、c 等よりも息を大きく吐き出しながら発音します。マハープラーナ強く発音しすぎたり、アルパプラーナで息が漏れすぎてマハープラーナに近くならないように気を付けながら、マハープラーナとアルパプラーナの違いが分かるように発音しましょう。

※マハープラーナ(mahāprāṇa)は「大きい息」、アルパプラーナ(alpaprāṇa)は「小さい息」という意味です。

※kh、gh、ch 等はそれぞれ2つではなく1つの子音とみなされます。

※歯擦音(ś、ṣ、s)気音(h、ḥ)もマハープラーナで、鼻音(ṅ、ñ、ṇ、n、m、ṁ)半母音(y、r、l、v)はアルパプラーナです。母音にはこの区別はありません。

5. マートラーとは?

サンスクリット語の音の長さの単位です。短母音(a、i、u、ṛ)は1マートラー(1拍)、長母音(ā、ī、ū、e、ai、o、au)は2マートラー(2拍)で、子音はすべて0.5マートラー(半拍)です。

(例)je(ヂェー):0.5+2=2.5マートラー(mātrā)

   jye(ヂエー):0.5+0.5+2=3マートラー

長母音の後に母音(短母音・長母音)が来る場合は、あいだに1拍、間(kālam)を置くとよいと言われています『Sruti 永遠のこだま』(USBメモリ版)の通し音源や、SSO音源ではこの間を空けて唱えています。短母音の後に母音(短母音・長母音)が続く場合は、あいだに間を置く必要はありませんが、それぞれの母音をしっかりと分けて発音する必要があります。

※文の文字は短母音や子音であっても伸ばして発音します。チャンティングの連続性を保つためです。文が t や k で終わる場合は t や k の後に曖昧な e が付く te や ke のような感じで唱え、tu や ku の音に近くならないように気を付けましょう。

※文はダンダ(daṇḍa)(|)、段落は二重ダンダ(||)で区切られています。

※文末がヴィサルガか t で、その前が長母音の場合は、その長母音は2マートラーよりも長く発音します。

マントラの最初や最後に唱えられるオームシャーンティの長音(ー) の長さは比較的自由です。

6. スワラとは?

ヴェーダにおいてスワラ(svara)とは、マントラを唱える際の母音の音程のことです。ヴェーダの文法規則では子音単体にはスワラはありません。スワラは一般的に中音のウダータ(udātta)、低音のアヌダータ(anudātta)、高音のスワリタ(svarita)、長母音を中音高音の順で唱えるディールガ スワリタ(dīrgha svarita)の4つがあり、それぞれ以下のように表記されます。

ウダータ:a  アヌダータ:a̱

スワリタ:a̍  ディールガスワリタ:ā̎

同じ単語でもスワラが違うだけでまったく異なる意味になることがありますので、ヴェーダは正しいスワラで唱えることが重要です。

※カタカナではディールガ スワリタのみ表記されており、「アー=」(またはアーー)のように表記されています。

※高音は中音より半音高く、低音は中音より1音低く唱えます。低音は通常より低く(中音より2音半低く)唱えるところもあります。(例)śrī̱ gu̱ru̱byo̱ na̱ma̱

参考ツール:バーチャルピアノ

7. 複合子音とは?

母音をあいだに挟まない2つ以上連続した子音の集まりのことです。テキストの単語間のスペースをまたいで子音が連続する場合も、以下の質問8唱え方をします。

※単語の末尾が n で、次の単語が通常 ya  または va で始まっている場合は、間にコンマ(,)が入り、繋げずに区切り(viralam)を入れて発音します。

8.  複合子音はどのように唱えますか?

母音の後に複合子音が来る場合、最初の子音か次の子音を重複させて、以下のように唱えます。

※すでに重複している子音はさらに重複させることはしません。

最初の子音(破裂音)を重複させて、重複させた子音の1つ目調音部位で息をせき止めたまま「無音」にすることで、その後の複合子音の前に溜めを置く形で唱えます。溜めの長さは子音1個分ですので半拍です。カタカナではサティヤ(satya)、ルドラ(rudra)と書かれていても、サンスクリットでは破裂音で始まる複合子音の ty や dr の前に溜め(ッ)を置いて、サッティヤ、ルッドラと発音するのはこのためです。

vitryavatu ⇒ vittryavatutrya(トリャ)の前に t の溜め(ッ)を置いて、ヴィットリャヴァトゥとなる

※ gṁ や g+歯擦音(ś、ṣ、s)では、最初の子音(g )は重複させません。 

※(無気音の)破裂音の後に破裂音か鼻音(ṅ、ñ、ṇ、n、m、ṁ)が続く場合、重複させた子音の2つ目も音が出ないことがよくあります。

最初の子音(非破裂音)を重複させて伸ば唱えます。伸ばす長さは子音2個分ですので1拍です。ただし、次の子音が破裂音の場合は、最初の子音鼻音(ṅ、ñ、ṇ、n、m、ṁ)の時を除いて重複させ、次の子音(破裂音)を重複させて唱えます。

sarasvatī ⇒ sarassvatīs を擦って伸ばし(1拍)、サラスーワティー(サラッスワティー)という感じになる

upamaśravastamam upamaśśravasttamam

最初の子音は重複させず、の子音を重複させて唱えます。

vājebhirvājinīvatī ⇒ vājebhirvvājinīvatīr を短く(半拍)発音したあと v を伸ばす(1拍)

※r の後に「歯擦音(ś、ṣ、s)+母音」または「h +母音」が続く場合には、何も重複させず、r を母音の ṛ のように1マートラーで、舌先を口蓋にわずかに接触させて発音します(日本語の「る」のような音になります)。これはスワラバクティ(svarabhakti)と呼ばれます。

9. brahma はブラフマなのかブランマなのか教えてください

こちらのヴェーダナーラーヤナン先生との質疑応答をご参照ください。

10. aiau の発音は、音源によって異なっていたり、意見が異なることがあるのですが、どのように発音するのがよいですか?

サンスクリット語とヒンディー語、その他のインドの言語は、それぞれまったく異なった言語ですが、同じ文字を使用していたり、同じインドということで混同しやすくなっています。実際は、文法、発音、名詞など、明確に区別する必要があります。日本での現状では特にサンスクリット語と、ヒンディー語、テルグ語の混同が多いです。

ヒンディー語の場合

aiアェー ※アーとエーの中間(もう少し口を開けるエーの要領)

auアォー ※アーとオーの中間(もう少し口を開けるオーの要領)

参考文献:『エクスプレス ヒンディー語』田中敏雄・町田和彦著 白水社

サンスクリット語の場合

aiアィー

auアゥー

ai は喉音と口蓋音の混合、au は喉音と唇音の混合になります。ai エィーに、au オゥーにならないように気を付けましょう。

11. ヴィサルガはどのように発音しますか?


※ヴィサルガ(visarga)は無声の気音で、アルファベットでは h の下に点が付いた文字(ḥ)、カタカナではハ行の下に点が付いた文字で表されます。

ヴィサルガはおおむね以下のルールに従って発音されます。

~aḥ ⇒ ~a  ~āḥ ⇒ ~ā

~iḥ ⇒ ~i  ~īḥ ⇒ ~ī

~uḥ ⇒ ~u  ~ūḥ ⇒ ~ū

~eḥ ⇒ ~e  ~aiḥ ⇒ ~ai

~oḥ ⇒ ~o  ~auḥ ⇒ ~au

※文はダンダ(daṇḍa)(|)、段落は二重ダンダ(||)で区切られています。

※ヴェーダの学習中などに文を短く区切って唱える場合も、ヴィサルガが最後にある時は、この発音をします。(例:bhadra karebhiバッドラ カルネービ) 

次の語の頭音が k、kh の場合

ヴィサルガは直前の母音を発音したのと同じ口の状態のまま舌の後方を持ち上げ、喉の隙間を狭めて空気を通りにくくし、そこに短く息を通すことで生じる摩擦の音(無声口蓋垂摩擦音)になります。この音をジッフワームーリーヤ(jihvāmūlīya)と呼びます。

~ḥ k~ ⇒ ~ k~

rudrāya namaḥ kālāya namaḥ kalavikaraṇāya ⇒ rudrāya nama kālāya nama kalavikaraṇāya

※ヴィサルガの次の語の頭音が kṣ のときは、ヴィサルガは上記1のルールで発音します。

次の語の頭音が p、ph の場合

ヴィサルガは上下の唇の隙間を狭めて空気を通りにくくし、そこに「フッ」と短く息を通すことで生じる摩擦の音(無声両唇摩擦音)になります。この音をウパッドマーニーヤ(upadhmānīya)と呼びます。

p p

svasti prajābhyaḥ pari-pālayantām ⇒ svasti prajābhya pari-pālayantām

次の語の頭音が歯擦音(śs)の場合

ヴィサルガは同じ歯擦音になります。

śś ś

ss s

śānti śānti śānti ⇒ śāntiś śāntiś śāntiヒー ś が重複するところでは ś を擦りながら若干伸ばします。最後は文末なのでヒを伸ばします)

※息継ぎをする時など、次の語の頭音にかかわらず、無音になることもあります

12. アヌッスワーラはどのように発音しますか?


※アヌッスワーラ(anusvāra)はアルファベットでは m の上に点が付いた文字(ṁ)、カタカナではムの下に点が付いた文字で表されます。

4種類の n(ṅñn)と m の音は「鼻音」と呼ばれますが、アヌッスワーラ(ṁ)は次に続く音によって発音が異なり、「特別鼻音」と呼ばれています。 日本語の「」(撥音も次に続く音によって発音が変わりますが、これとよく似ています。アヌッスワーラは語中、語末に関わらず、おおむね以下のルールに従って発音されます。

喉音である kg の前にある場合、 ṁ(アヌッスワーラ) 同じ喉音である ṅ に変えて発音します。

kavi kavīnām ⇒ kavi kavīnām

口蓋音である cjñ の前にある場合、ṁ 同じ口蓋音である ñ に変えて発音します。

bahudhā jāta jāyamāna ca yat ⇒ bahudhā jātañ jāyamānañ ca yat

歯音である tdn の前にある場合、ṁ 同じ歯音である n に変えて発音します。

gaṇānā tvā ⇒ gaṇānān t

anyathā śaraṇa nāsti ⇒ anyathā śaraṇan nāsti

唇音である pbm の前にある場合、ṁ m に変えて発音します。

jyeṣṭha-rāja brahmaṇā brahmaṇaspata ⇒ jyeṣṭha-rājam brahmaṇām brahmaṇaspata

mahī mahīśāḥ ⇒ mahīm mahīśāḥ

k/g/ (喉音) ⇒ -- k/g/ṅ--

~ṁ c/j/ñ~ (口蓋音) ⇒ ñ c/j/ñ~

~ṁ //ṇ~ (そり舌音) ⇒ //ṇ~

~ṁ t/d/n~ (歯音) ⇒ ~n t/d/n~

~ṁ p/b/m~ (唇音) ⇒ ~m p/b/m~

語中のアヌッスワーラの後に破裂音ではじまる複合子音が続く場合は、アヌッスワ ーラは m として重複させて発音した後、溜めを置いて複合子音を発音します。

~ṁ y~ ⇒ y~

~ṁ l~ ⇒ l~

~ṁ v~ ⇒ v~

yadamu yamasya ⇒ yadamu yamasya

gaṇapatig havāmahe ⇒ ganapatigm havāmahe

【質問7~12に基づいて変換した例】

gaṇānāṃ tvā gaṇapatigṃ havāmmahe kaviṃ kavīnāmupamaśravastamam |

jyeṣṭha-rājaṃ brahmaṇāṃ brahmaṇaspata ā naḥ śṇvannutihissīda sādanam || 

praṇo devī sarasvatī vājebhirvājinīvatī |

dhīnāmavitryavatu |

変換後

gaṇānānntvāgaṇapatigmmhavāmmahekaviṅṅkavīnāmupamaśśravasttamam |

jyeṣṭhṭharājammbrammhaṇāmmbrammhaṇasppataānaśśṇṇvannutihissīdasādanam ||

praṇodevīsarassvatīvājebhirvvājinīvatī |

dhīnāmavittryavatu |

13. 母音のルと子音のルの発音の違いについて教えてください

それぞれ以下のような違いがあります。

 ṛ(母音)

 r(子音)

ru

14. グニャーナやヤッグニャのグニャ(jña)の発音の仕方を教えてください

※カタカナでは左上に点があるヂと右下に波線があるナの文字で表されます。

これはヒンディー語では「ギャ」、テルグ語(プッタパルティがあるアーンドラ・プラデーシュ州の公用語)では「グニャ」、マラーティー語では「ドニャ」という感じでよく発音されるため、インドにおいても間違って発音されやすい文字となります。

サティヤ サイ出版協会(SSP)の書籍では、カタカナで「グニャ」と表記されていますが、サンスクリット語では jña と表記されている通り、「グニャ」とは発音しません。

サンスクリット語では、 j も ñ も舌の前方から中ほどを上あごに密着させて発音する口蓋音で、同じ調音位置であるため、j の音はほぼ聞こえず「ッニャ」という感じで発音されます。

vijñāna ヴィッニャーナ  yajña ヤッニャ  jajñire ヂャッニレー   

なお、日本語の「じゃ」や「にゃ」は舌先を歯につけて発音することがありますが、これはサンスクリット語の「ヂャ」や「ニャ」の発音とは異なります。

15. ニーラー スークタムのニーラーのラはどのように発音しますか?


アルファベットでは l の下に下線が付いた文字(ḻ )、カタカナではラの右下に縦線2本が付いた文字で表されます。

これはそり舌音の la になります。

そり舌音ですので、ṭa、ḍa、ṇa と同様、舌を反らせて舌先を上あごに付けて発音します。他のそり舌音との発音の違いは以下のようになります。

国際音声記号ではそり舌側面接近音にあたります。

古典サンスクリットにはない、ヴェーダ語(ヴェーディック サンスクリット)特有の音で、このサイトに掲載されているマントラの中では、ニーラー スークタムのニーラーのラーにしか登場しません。

16. チャマカム第2アヌヴァーカの「クルプタン」のルはどのように発音しますか?


※アルファベットでは l の下に点が付いた文字(ḷ)、カタカナではルの右下に点と縦線1本が付いた文字で表されます。

これは母音の l になります。

舌先を上の前歯の裏側に近づけて、息を吐きながら舌先を震わせて発音します。発音の長さは1マートラー(1拍)です。

この「ル」は動詞の語根 kḷp に属する語形および派生語の中にしか現れず、このサイトに掲載されているマントラの中では、チャマカム第2アヌヴァーカの最後の方に出てくる「クルプタン」と「クルプティシ」の「ル」にしか登場しません。

17. アヴァッグラハとは?

アヴァッグラハ(avagraha)はアルファベットとカタカナではアポストロフィー「’」で表記され、連音(サンディ)によって語頭の母音 a (「’’」の場合は āが消えたことを意味します。

yo apām ヨー アパーム ⇒ yo 'pām ヨーパーム

18. チャンティング時に息継ぎはどこでしたらよいですか?

文と文の間以外では、以下の場所で息継ぎすることができます。ただし、単語のつづりの途中(※)やアヴァッグラハ(「’」;質問17参照)の前では息継ぎはできません。単語のつづりが変わって意味とチャンティングの効果に影響があるためです無意識に息継ぎをしてしいることがありますので気を付けましょう。

単語は英語のように各文章内でスペースやハイフンで区分されています。

ルッドラムのように上記でも間に合わない場合は以下で対応できます。

息継ぎをした後は、息継ぎをしない場合と同じタイミングで次の単語の発音に入るようにし、遅れないように注意しましょう。

※一人だけで唱えるときは他の人と声を合わせる必要がないので、ある程度自分のリズムで息継ぎすることができます。

参考資料