”人間は、自分が組み立てたヤントラ(機械)という手段によって、建設と破壊の能力を百万倍も向上させました。一個の原子爆弾が、多数の軍隊が達成できなかった破壊を引き起こしました。それと同じように、霊性の分野においても、人間の中に隠れている力は、人間が発見したマントラを通して宇宙の神秘を見破るという、途方もない仕事を達成することができます。マントラとは「強力な祭文」を意味します。人間はヤントラを作りますが、マントラは人間を作ります! ヤントラを作る人は科学者と呼ばれます。マントラを知っている人は聖者と呼ばれます”
シュリ サティヤ サイ ババ
ヴェーダとマントラは関連していますが、異なる意味を持っています。
ヴェーダ:ヴェーダとは、古代インドの聖典で、知識や智慧を意味する「Vid(知る)」に由来します。ヴェーダは、リグ・ヴェーダ、ヤジュル・ヴェーダ、サーマ・ヴェーダ、アタルヴァ・ヴェーダの4つの主要な聖典を指し、宇宙、自然、儀式、哲学などに関する深い教えが含まれています。これらの聖典には、詩、祈り、儀式の説明などが含まれ、広範な内容をカバーしています。簡単に言えば、ヴェーダは「大きな本や知識の体系」です。
マントラ:マントラは、ヴェーダの中の一部の詩やフレーズ(例えば、ガーヤトリー マントラ、ナマカムなど)で、正確に発音されると、人間の内にある神聖な力を呼び起こします。マントラを唱えることで作り出されるバイブレーションは、宇宙のナーダ(原初の音)と結合して、普遍意識と一つになります。「マ」はマナナ、つまり反芻(はんすう)することを、「トラ」は救うことを意味します。したがってマントラとは、それを瞑想すれば救ってくれるものという意味です。
どう使い分ける?
「ヴェーダ」は、全体の聖典やその内容を指すので、「リグ・ヴェーダを学ぶ」「ヴェーダの教えを理解する」などのように使います。
「マントラ」は、具体的な聖句や唱えるフレーズを指すので、「このマントラを唱えた」「ガーヤトリー マントラを練習する」などのように使います。
例:
誤:このヴェーダを唱えた → 正:このマントラを唱えた
誤:どのヴェーダを唱えますか? → 正:どのマントラを唱えますか?
このように、具体的に唱える聖句については「マントラ」と表現することで、より正確で分かりやすくなります。
以下はご参考に、一般的な曜日ごとの礼拝される神様です(地域等によって異なります)。
月曜日:シヴァ
火曜日:ガネーシャ、ドゥルガー、カーリー、ハヌマーン
水曜日:クリシュナ、ラーマ
木曜日:ヴィシュヌ、サイ ババ、グル
金曜日:女神、ラクシュミー、サラスワティー
土曜日:ヴェーンカテーシュワラ
日曜日:スーリヤ
また、プラシャーンティ ニラヤムで行われているヴェーダ チャンティングでは、曜日ごとに唱えられるマントラが決まっており、テキスト・音源一覧表では、このサイトでご紹介しているマントラが唱えられている曜日を掲載しています。SSOによる毎日のオンライン ヴェーダ チャンティングはこれを参考にしています。
以下、日本のサイセンター/グループで催されることがあるお祭りごとのおすすめのマントラです(日本語テキストがあるもののみ)。
なお、いつもチャンティング(詠唱)は最初にガネーシャ神への祈りであるガナパティ プラールタナーを唱えて始め、最後にはすべての世界の平和を祈るスワスティ ヴァーチャカ シローカを唱えて終えるのがよいでしょう。
新年
バーギャ スークタム、ガナパティ アタルヴァ シールショーパニシャット、ドゥルガー スークタム、ナーラーヤノーパニシャット、マントラ プシパム
マハー シヴァラートリ
シヴォーパーサナ マントラーハ、ルッドラム、ラグンニャーサハ、ドゥルガー スークタム、(リンガーシタカム)
ラーマ神/クリシュナ神御降誕祭
ナーラーヤノーパニシャット、ナーラーヤナ スークタム、シリー スークタム
花まつり、ブッダ プールニマー
マントラ プシパム、ナ カルマナー、ドゥールヴァー スークタム、(三〈六〉帰依文)
アーラーダナ マホーツァヴァム、グル プールニマー、アヴァターの日、スワミの御降誕祭
上記マハー シヴァラートリのマントラ、ラーマ神/クリシュナ神御降誕祭のマントラ、プルシャ スークタム
ガネーシャ チャトゥルティー
ガナパティ アタルヴァ シールショーパニシャット、ドゥルガー スークタム、シヴォーパーサナ マントラーハ、マントラ プシパム
女性の日(レディース デー)、子どもの日(イーシュワランマ デー)
メーダー スークタム、ニーラー スークタム、ドゥルガー スークタム、ドゥールヴァー スークタム、シリー スークタム
クリスマス
マントラプシパム、ナ カルマナー
マントラを唱える順番に決まりはないですが、プラシャーンティ ニラヤムでのチャンティングを参考にすると、このサイトに掲載しているマントラを複数唱える際には、各マントラは以下の (1)~(13) の順番で唱えることをお勧めできます。なお、チャンティング中はハーモニウムやシルティ ボックスは使用しないようにしましょう。
(1) ガナパティ プラールタナー
※代わりに短縮版(オーム ガネーシャーヤ ナマハ…ハリヒ オーム)やガネーシャ ガーヤトリー(オーム エーカダンターヤ ヴィッドマヘー...プラチョーダヤート)、オーム サーイーシワラーヤ ナマハ ハリヒ オームなどを唱えることもできます。(2) ナマカム
※途中のアヌヴァーカまでしか唱えない場合は、まだ続きがあるというニュアンスを残すために、ヴェーダのマントラの最後〔(12)、(13)の前〕に唱え、最後にオーム+シャーンティ三唱を唱えるとよいでしょう。※ナマカムを最後まで唱えて、次にチャマカムを唱えない場合は、ナマカムの後にシャーンティ マントラとしてチャマカム第3アヌヴァーカを唱えるとよいです。お祭りやイベントでチャマカム第3アヌヴァーカを唱える時間がない場合は、ナマカムの後(チャマカム第3アヌヴァーカは唱えずに)、スワスティ ヴァーチャカ シローカを唱えてチャンティングを終えましょう。(3) チャマカム
(4) プルシャ スークタム
(5) クリミ ナーシャカ マントラム
※(2)(3)(4)を唱えない場合は、(1)の後に別なマントラを唱えて、その後に唱えるとよいでしょう。(6) 上記&下記以外のマントラを唱える場合は、この (6) に入ります。
※複数のマントラがある場合、それらに推奨の順番は特にありません。(7) マントラプシパム
(9) ドゥールヴァー スークタム
(10) ドゥルガー スークタム
(11) ナ カルマナー
(12) クシャマー プラールタナー
※ヴェーダ クラスの最後には必ず唱えられますが、ヴェーダ チャンティングの中では通常唱えられません。(13) スワスティ ヴァーチャカ シローカ
※皆に向かって立って唱えるヴェーダ チャンティングの際には唱えなくてもよいです。死を司るシヴァ神に関係するマントラがよいでしょう。このサイトにはシヴァ神に関係するマントラとして、シヴォーパーサナ マントラーハとルッドラムがあります。
インドではお坊さんがアパラ カルマ マントラと呼ばれるお葬式用のマントラを唱えますが、こうしたマントラは一般の人が学ぶことはありません。