ドゥルガー スークタムについて

以下、Radio Sai Vedam Tutor 2014年4月10日放送回より

ドゥルガー スークタムは、アーディシャクティ(物質世界に充満する原初のエネルギー、力)を司るシュリ ラリタ パラメーシュワリ(聖なる母、シャクティー(女性原理)の象徴)であるドゥルガー女神の讃歌です。基本的に、ドゥルガー女神はシヴァ神の妻であるパールヴァティー女神です。『マールカンデーヤ プラーナ』の『ドゥルガー サプタシャティー』(『デーヴィー マハートミャ』とも呼ばれる)にはドゥルガー女神についての多くの情報があります。しかし、ドゥルガー女神はヴェーダ文献においてもよく知られています。ドゥルガー女神は『シュリ クリシュナ ヤジュル ヴェーダ』の『タイッティリーヤ アーランニャカ』で賛美されており、ナーラーヤナ神がナーラーヤナ マハーン(偉大なるナーラーヤナ)として称えられている『マハーナーラーヤナ ウパニシャド』においては特にそれが顕著です。これはヴェーダの中で最も有名なスークタ(讃歌)のうちの一つです。

ドゥルガー女神は、このサムサーラ(輪廻)を渡るのを助けてくれる女神、ターラカ(渡ることを可能にする、救う)と呼ばれ祈りが捧げられています。サムサーラ ナディー(輪廻の川)とはラナ(喜び、戦い) ナディー、すなわちこの地上で活動している生物に喜びと奮闘をもたらす川です。ドゥルガー女神は、「火から生まれたもの」という意味のアグニ サムバヴァとして描写されています。したがってドゥルガー女神は、悪人に対してアグニヴァルナ、すなわち火の外貌(がいぼう)をしています。このため、ターム アッグニヴァルナームと呼ばれています。言い換えれば、ドゥルガー女神は非常に身のこなしが軽く機敏な、エネルギーに満ち溢れた無敵の働き手です。ドゥルガー女神は災難を克服する助けをしてくださる最高のお方、スタラスィ(ス:上手に、タラスィ:渡る)として描写されています。

ドゥルガー女神には、帰依者とともにその友人や親族もお守りいただけるよう乞われます(ドゥルガー デーヴィーグム シャラナマハム プラパッディエー スタラスィ タラセー ナマハ)。ドゥルガー女神には、アトリ仙がそうしたのと同じくらい帰依者を気遣ってくれるよう乞われます(アッグネー アットリヴァン マナサー グルナーノー スマーカム ボーディヤヴィター タヌーナーム)。また、帰依者に幸運、サゥバーギャを授けてくださるよう乞われます(サゥバガマーヤヂャッスワ)。さらには、信奉者の家に喜びをもたらし、祝福してくださるよう祈願されます。このスークタのムーラ マントラ(根本マントラ。ここではカーティヤーヤナーヤ ヴィッドマヘーから最後まで)は、ドゥルガー女神(「近づき難い女神」の意味)に慈悲深くなっていただけるよう、カーティヤーヤニー女神(原初のエネルギー、シャクティの化身としてのドゥルガー女神の別名)とカンニャクマーリー女神(処女という意味のドゥルガー女神の別名)を瞑想します。このスークタムの中には7つの詩節がありますが、その内の5つは火の神であるアグニ神への祈りに関連しており、2つの詩節だけがドゥルガー女神に言及しています。2つ目のマントラ(詩節)にはムーラ マントラが含まれており、これを繰り返し唱えること、すなわちジャパをすることで、障害や問題を克服することができます。すべてのマントラ(詩節)が非常に強力です。

このスークタのヴィニヨーガ(採用、使用)は、アビシェーカ プージャー(灌頂の儀式)、アビシェーカ ジャパ、パーラーヤナ(吟唱)、ハヴァナ(護摩供養)において見られます。火曜日はドゥルガー女神、金曜日はラクシュミー女神とラリター女神を讃えるのに最適な日です。これらの曜日にこのスークタを唱えて、悦(よろこ)びを得てください。

以下、Radio Sai Vedam Tutor 2014年4月17日放送回より

ドゥルガー スークタムは、(最後のムーラ マントラを除き)『マハーナーラーヤナ ウパニシャッド』に出てくる火の神アグニへの祈りです。ドゥルガーはここではほとんどの詩節において困難な問題を表す言葉として使われています。ドゥルガー女神への呼びかけは、第2節においてのみ与えられています。しかしながらほとんどの詩節は、内面と外面、両方のあらゆる障害や不幸を取り除くドゥルガー女神への祈りであると考えられています。『マハーナーラーヤナ ウパニシャッド』のドゥルガー スークタム(ドゥルガー女神讃歌)としてよく知られるこのセクションは、もともとは『リグ ヴェーダ』やその他のヴェーダ文献にも散見されている詩節からなります。

ヂャータヴェーダセー スナヴァーマ ソーママラーティーヤトー ニダハーティ ヴェーダハ

サ ナッ パルシャダティ ドゥルガーニ ヴィッシワー ナーヴェーヴァ スィンドゥム ドゥリター ティヤッグニヒ

おお、火の神ジャータ ヴェーダス(火神アグニの呼称)よ。私たちはあなたにソーマ酒の供物を捧げます。どうか火の神が、私たちの人生で起こる障害を焼き尽くしてくださいますように。

ちょうど船が人に海を渡らせるように、火の神が危険と過ちから私たちをお守りくださいますように。

ドゥルガー スークタムは、人生につきものの困難を避けるためになされるジャパとして処方されています。物質的には火として解釈されているジャータ ヴェーダスは、ヴェーダの儀式で崇拝されている全知の神聖存在を意味します。火として、彼はソーマの供犠の中でソーマ酒の供物とともに礼拝されます。覚えておくべき点は、ソーマの供犠の中でなされる、敵を滅ぼすための帰依者の神への祈りは、外側の敵を滅ぼすことだけでなく、カーマ(欲望)、クローダ(怒り)、ローバ(貪欲)、モーハ(愛執)、マダ(高慢)、マーツァルヤ(嫉妬)といった内側の敵、アリシャドヴァルガや、求道者にとって霊性向上の妨げとなる、人の内の悪い性質を滅ぼすことも含まれています。

障害の海とは、私たちの人生、つまり日常の生活における心配や困難、私たちが犯す過ちや遭遇する苦難を含みます。この詩節に出てくるヴェーダやヴェーダスという言葉は、「すべてを知るもの」という意味で、それは神聖な火です。アグニという言葉は、人をより高いレベル、つまり全生物の真我として宿る神へと導く者を意味します。

ターム アッグニヴァルナーム タパサー ヂワランティーム ヴァィローチャニーム カルマパレーシュ ヂュシターム

ドウルガーム デーヴィーグム シャラナマハム プラパッディエー スタラスィ タラセー ナマハ

私は、火のような光沢をもち、苦行によって明るく輝く、母なるドゥルガー女神を避けどころとします。女神は、ご自身を幾重にも重ねて顕現される至高のエネルギーであり、また、行動とその成果に潜んで、それらを有効なものにする力です。

おお、母よ。苦難の海から救い出してくださるお方よ。私たちを守りたまえ。あなたに帰命いたします。

アッグネー トワム パーラヤー ナッヴィヨー アスマーン スワスティビラティ ドゥルガーニ ヴイッシワー

プーシチャ プルットウィー バフラー ナ ウルヴィー バヴァー トーカーヤ タナヤーヤ シャンヨーホ

おお、火の神よ! あなたはあらゆる称賛に値します。私たちにすべての困難を快適に乗り越えさせてください。

私たちの家庭と国と世界が栄えますように。また、私たちの子どもたちと、そのまた子どもたちに、あなたが喜びと幸福をお授けくださいますように。

ヴィッシワーニ ノー ドゥルガハー ヂャータヴェーダッ スィンドゥン ナ ナーヴァー ドゥリター ティパルシ

アッグネー アットリヴァン マナサー グルナーノーー スマーカム ボーディヤヴィター タヌーナーム

おお、あらゆる罪を打ち砕くジャータ ヴェーダス神よ! 溺れる者を船によって救出するように、私たちを守りたまえ。

私たちの身体を守るものよ。偉大なるアットリ仙がつねに心の内ですべての人の安寧を祈っていたように、私たちの安寧に心をお配りください。

プルタナー ヂタグム サハマーナムッグラマッグニグム フヴェーマ パラマー(卜) サダスタート(ゥ)

サ ナッ パルシャダティ ドゥルガーニ ヴィッシワー クシャーマ(ド) デーヴォー アティドゥリター ティヤッグニヒ

おお、敵の軍勢に突進し敵を打ち破る勇猛なお方よ。私たちは最高の集会場から、一切の指導者であるあなたに、ここを統治してくださるよう祈願いたします。

ジャータ ヴェーダス神が、私たちにあらゆる困難と滅びゆく一切のもの、そしてすべての罪を乗り越えさせてくださり、私たちをお守りくださいますように。