サハナーヴァヴァトゥの意味
『サイラムニュース』2010年5・6月号より
10月2日午後のダルシャンで、スワミにお捧げした私たち世界第5地域の帰依者によるプログラムの中で、ヴェーダを吟唱することができました。初めにガナパティ プラールタナーを唱え、続けて今回のサーダナ キャンプに合わせて新たに皆で勉強してきたニーラー スークタムを唱えました。スワミは私たちの吟唱を注意深くお聞きになっておられ、私たちが次にサハナーヴァヴァトゥ(ナーラーヤナ ウパニシャッドの前後に唱えるシャーンティ マントラ)を唱え始めたとき、私たちと一緒にこのマントラを唱えてくださいました。マントラの意味は次の通りです。
サハ ナーヴァヴァトゥ
私たち(ナウ)が共に(サハ)守られます(アヴァトゥ)ように
サハ ナゥ ブナクトゥ
私たち(ナウ)が共に(サハ)育まれます(ブナクトゥ)ように
サハ ヴィールヤム カラヴァーヴァハィ
共に(サハ)精力的に(ヴィールヤム)働きます(カラヴァーヴァハィ)ように
テーヂャスヴィナーヴァディータマストゥ
私たち(ナウ)が学んだこと(アディータム)により光輝(テージャスヴィ)を得ます(アストゥ)ように
マーヴィッドヴィシャーヴァハィー
互いを憎む(ヴィッドヴィシャーヴァハィ)ことがありません(マー)ように
スワミはこのマントラを御講話でも度々引用されるのですが、マントラの意味について、「サハナ」(忍耐力、我慢強さ)という観点から次のようにも教えてくださっています。
人間の身体的行為と、話す言葉と、思考のすべては、「サハナ」すなわち忍耐力と我慢強さという、たいへんすぐれた性質と徳を示すべきであるというのが、ウパニシャッドの教えです。サハナは人の激情を制御し、激しい行動を抑制します。サハナは人の性格を改善し、純化する作用であり、結果として平安をもたらします。生活の喧騒の中、特に現代の世の速いテンポにあっては、人間の感覚は拍車がかけられ落ち着かず、人間の心(マナス、マインド)は気が散って容易に離れていってしまいます。「サハナ」は、感覚と器官の活動を制御し、動機づけ、導く力であり、能力です。人間を高めるのも卑しくするのも、心と感覚の正しい制御によります。サハナは心と感覚の正しい働きを統制します。
「サハナーヴァヴァトゥ」というマントラは、自分が立てる誓いであり、自分がサハナを備えてこの世を生きるという誓いです。――「私は我慢強さと辛抱強さと自制心を備えて人生を送ります」――。サハナという性質は、子どもにも大人にも等しく必要不可欠なものです。このマントラは、ただ唱えるだけで終わらせず、実践において繰り返されるべきです。
『霊性修行の手引」p.41-44
私たちのヴェーダ吟唱は、このマントラの後にナーラーヤナ ウパニシャッドを途中まで唱えたところで、スワミの「ストップ」の合図により終わりました。
後日、スワミとお話をする機会のあった帰依者の方より、この時の私たちのヴェーダの吟唱について、スワミが「非常によかった。とてもよく勉強をしているね」とおっしゃってくださったとお聞きしました。プラシャーンティ ニラヤムの月刊誌『サナータナ サラティ』2009年11月号に掲載された記事には、「完全な発音、リズム、イントネーションで唱えられた」と書かれていました。
日本に来られたサイ大学卒業生の方々より、ヴェーダの唱え方を細部まで教わり、ここまで唱えることができるようになりましたことをスワミに感謝いたします。これからも私たちがヴェーダを学び続け、その教えを実践することがきますように、スワミにお祈りいたします。